友のために麗羽は生きる(U)
作者: 美月   2010年01月05日(火) 20時37分39秒公開   ID:Ee3yYWMigJ6



私達が出会ったのは些細なことだった・・・



























「・・・・・。」

当時 第2回生だった麗羽は教室で読書をしていた


その当時から麗羽の才能は開花し始めていた



そして今日



ガラガラッ!


教室のドアを開けて入ってきたのは先生である



「はーい、みんな座ってー!今日は転校生が来るわよー。」



教室は興奮の熱気と話し声に包まれる


「じゃあ入って。」



先生に導かれ教室のドアを開けたのは小柄な少女だった


普通の女子よりは美人な方なので男子は興奮する



「じゃあ自己紹介して。」


先生は転校生に笑みを送る


「・・・・鈴風です。よろしくお願いします。」


かなり緊張しているようで声が震えている



「席はあの空いてる席よ。みんな仲良く!仲良くねー!」



(((今、二度言った・・・。)))


みんなは心のそこから突っ込みを入れた





「よ、よろしく。」


鈴風は隣の席に当たる麗羽に少し声をかけ席に座る


「・・・よろしくね。」


麗羽は笑った


「・・・・。」

その笑みにさえ鈴風は脅えているようだ



これは時間がかかると麗羽は思った





ここは文学・理数・体術・政治などを習う


今は体術の授業・・・


いわゆる自分を護るための戦術である



今日は二人一組で格闘の授業である

麗羽と鈴風が組むことになった



二人は互いに技をかけながら話し込む


「こんなときに話すのもなんだけど、これからよろしくね。」


鈴風はかかと落しの構えをする


「よろしくね。親の用事?」


麗羽はかかと落しの範囲から後ろに下がる


「・・・親はこの前事故にあって死んだ。」


鈴風はかかと落しを止めファイティングポーズを取る


「・・・ごめんなさい。そんなつもりじゃ。」


麗羽は蹴りの構えをする


「・・・同情はたくさん。」


鈴風は麗羽の肩に向かってこぶしを入れようとする


「・・・実は私も親がいないの。もう顔も覚えてない。」


「!」


鈴風はこぶしを入れることを一瞬ためらった



その瞬間に麗羽は鈴風の顔の前に蹴りを入れる


「・・・!」


鈴風の目の前で止まった足の反動で顔に風が当たる




他のクラスのみんなはその光景を見て唖然としている


女子二人が格闘を本気でしているのだ




「あなたも親が?」


鈴風は驚いたように目を見開く


「うん。おばさんと一緒に暮らしてるんだけど、私が3歳のときに事故で。」


麗羽は苦笑いしながら言う


「・・・そっか。私は今一人暮らしなんだ。」










・・・偶然だろうか?



親のいない二人が出会った瞬間、二人は同時に同じことを思った













これは運命ではないかと・・・



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