フェアリーテイル 第12話 姉妹と敵の世界
作者: モモ   2009年12月28日(月) 11時53分01秒公開   ID:.YGsdf.9cjE
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ガーディアンの仕事が終わり、一息ついてお茶を飲んでいたとき、香織が唯に真剣に話しかけた。
「唯ちゃん」
「何?」
「そろそろあなたに知ってもらわなきゃいけないことがあるの。」
「唯ちゃん、私たちが話している内容で、わからない言葉とかたくさんあるでしょ?」
「フェアリーとか、黒百合学園とか…、正直よくわからない。」
「だよね。」
「それがどうしたの?」
唯はそうでもよさそうに、お菓子を食べながら聞いている
「これから、そのことについて説明しようと思って。」
「ふーん。」

唯が適当に返事をすると、香織が少し間を空けて話し始めた。


「私たちが唯ちゃんがガーディアンに誘った理由、それは唯ちゃんが妹の優ちゃんと対になる妖精フェアリーをもっているからなの。」
「対になるフェアリー?」
「妖精の世界は「ウィッチワールド」と呼ばれているの。そのウィッチワールドは半分に分けられていて、一つが黒百合学園の学園長が支配している世界で、黒魔法を使う。」
「そして、もう一つの世界はこの学園の学園長が支配している世界で、白魔法を主とするわ。」
話しているところに夕も加わってきた。
「夕ちゃん」
「私たちの妖精は白魔法世界から、黒百合あっちのほうは黒魔法。」
「私たちって、みんな妖精持ってるの??」
さっきとはまったく違い、興味津々で聞いている。
「うん。私と香織ちゃんは中学になってから、この学園で出会った。」
「あたしは、今年の初めかな。」
いつの間にか遥も加わっていた。
「今年の初めってことは、まだ妖精を持ってそんなにったってないんだね?」
「そうだよ〜。だからまだ私は変身はできないのっ」
つまらなそうに口をとがらせる遥。
「そいえば、変身って何??こないだの戦いの時、夕ちゃんも香織ちゃんも変身してたみたいだけど。」
「変身は、自分の妖精に力を借りるの。」
「へぇー、すごいんだね!」
「でも、そのかわり結構体力使うのよ。」
「大変だね〜。」
「普段はちょっとした力なら使えるんだけどね。」
「たとえば?」
「たとえば、私だったら水の力。水の流れを変えることができるわ。」
香織はティーカップに入っている紅茶を、手を触れずにかき混ぜてみせる。
「私たちの使う力は自然から借りる白魔法だけど、黒魔法は人工的に作り出された魔法。」
「人工的に…?」
「そう。昔、最初は白魔法だけだったんだけど、とても頭のいい科学者の妖精がいて、その人がまちがえてつくりだしてしまったのよ。」
「その作り出された魔法は人の手に渡り、悪用して使い始めたってわけ。」
「そして、その魔法を作り操ったとても頭のいい科学者の妖精の持ち主は、黒百合学園の初代学園長なの。」
「えぇっ」
「だから、わたしたちは宿命的に黒百合と戦わなくちゃいけない」
「戦わなくたっていいんじゃない!?話し合いとかで解決はっ」
「唯ちゃん、そんな簡単な問題じゃないのよ。」
「……」

ガーデンに重い空気がただよう。
「…一つだけ解決できる方法はあるんだけど」
「なになに??」
「唯ちゃんの妹・優ちゃんは、黒魔法の女王様が妖精。」
「唯ちゃんは白魔法の世界の女王様が妖精。」
「わたしの妖精さんは白魔法の世界の女王様??」
唯の目にハテナがたくさん浮かんでいる。
「解決方法というのは、唯ちゃんと優ちゃんと妖精たちが協力して世界を救うこと。」
「じゃあ、私と優が協力すればいいの!?簡単なことだよ!!」
「でも、二人が協力すれば、……二人が消滅する。」
「えっ…」
唯が衝撃的で、言い返せなくなったように小さくつぶやいた。
「だから、協力する前に、黒百合学園が優ちゃんを操って唯ちゃんを先に倒そうと考えているの。」
「最初に連れ去った時は、唯ちゃんも黒百合の仲間にして解決しようとした。」
「でも途中で気がついた。それでは何の解決にもならない。」
「仲間にしたところで、唯ちゃんには白魔法の血が通っているから、黒魔法はつかえないし、仲良くすれば、そのうち二人が消滅してしまう。」
「次に日向くんと優ちゃんを操って、戦いを挑んできた。」
「でも、唯ちゃんが我に帰って、お姉さんの仲間を倒すのはかわいそうと思ったため、操っている人と考えが違い、うまく操れなくなってしまいまた失敗。」
「そして、こないだ私たちを連れ去った時は、日向くんが連れ去ったけど、こちらも我に帰り作戦失敗。」
「そんな、操るなんて…。」
「失敗続きなのは、学園長があせっているから。」
「どうして?」
質問をすると返事はすぐに返ってこなかった。

「…優ちゃんの力が目覚めたからよ」
「こないだ戦っている時に何か感じなかった?」
「あー、前会ったときとは全然印象が違った気がする。」
「そう、優ちゃんと妖精の女王様は、黒魔法に体を乗っ取られつつあるの」
「さっきも言った通り、黒魔法は人工的なもの。だからその暴走し始めた力を利用して、」
「優ちゃんの体を乗っ取り、世界を支配しようと考えている。」
「考えているってことは。」
「そういう人がいるってこと。まだ誰かは分かっていないけど」
「唯ちゃんを先に倒そうとしているのにはもう一つの理由があるの。」
「唯ちゃんを倒すことによって、唯ちゃんに封印されている自然の力を解放して、黒魔法の暴走を止めようってこと。」
「とことん、こっちには不利な条件ばっかりなんだよね〜。」
「………」
遥が明るく唯に言うと、唯は下を向いて震えていた。
「…唯ちゃん?」
「どうしたの…?」


しばらくして、唯が明るくこう言った。

「も、もうすぐ下校時間だよ?早く帰ろっ!!」

「あ、うん…。」


自分のカバンを持つと、走って正門に向かっていって、こんなことを言って、一人で変に盛り上がっていた。

「今日のご飯はなにかな〜。ハンバーグ?カレー?シチュー?、それともお鍋かな〜?」



「なんか、唯ちゃん変になった?」

「しょうがないわ。いきなりこんなこと聞かされて…」


「さて、これからどうしようか…。」


「…もうすぐ、リミットは迫っているわ。」


⇒To Be Continued...

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