これCry Adventure 瑠姫の小さな小さな大冒険 mission1
作者: なぁび  [Home]   2009年10月02日(金) 03時04分35秒公開   ID:sw0xlSukK4E
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   〜男子side.〜




 「ちなみに日本初のコンビニは1969年大阪に生まれたそうだ。今ではかなりの店舗数があるが。先生はコンビニの大きなカレーパンが非常に大好きだ」


 瑠姫たちのクラスが理科の授業をしている最中、はるかたちのいるクラスでは現代社会の真っ最中だった。

 先生のどうでもいい話が多いのは、気のせいだろうか。眠っている生徒数名、頬杖をついて明らかに他のことを考えている生徒数名。


 「最近は昼夜逆転生活をしている者が多い。これまでのペースが変わってきたことが24時間営業のコンビニの成長に反映されてると言えような」


 最近『居眠り大魔王』の名をもらった隼人はやとはもちろん夢の中。

 窓際の席でぐっすりとそれはそれは気持ちよさそうに眠っていた。

 そんな彼が、敵の襲来に気付くわけもなく。


 「…ふげっ!」


 意味の分からない奇声を上げたかと思えば椅子ごと横に倒れる始末。

 横の席のしゅうはきれいにそれを避けた。


 「なんだ〜居眠り大魔王…今日も寝てたのか。また平常点から引くからな!」

 「…ってて…あだ―――だだだだだ…っつー頭が…!」


 何かが当たった衝撃に加え、床に当たった衝撃で隼人は床をのたうちまわっている。ちなみにどっちも頭に与えられたもの。

 先生に授業中の意眠りを発見されてさらに不運だ。不運すぎる。


 「居眠り大魔王の名があるとはいえ今回のテストで赤点取ったら…!」

 「すみませんすみません…」


 そんな彼よりもっと不運な者がこの場にいたことは、まだこの時点で誰も知る由はなく。

 約5分とはいえ授業がつぶれたと喜んでいる者少々。教壇の上に呼ばれてまで隼人は説教を食らった。


 「これ以上成績落としてどうすんだ。まったく…」


 まだ文句を言ってる先生をこっそり睨みながら席に戻る。その時何かが、彼に付着したことを彼はまだ知らない。


 「授業戻るぞー。で、現代社会と…」

 「……?」


 それに気付いたのは、席に着いてから間もなくのこと。


 (かゆい? 足が急に?)


 足にむずがゆさを覚え、かゆみを覚えた場所を手で押さえる。すると。


 (なんかいる?!)


 そこに何かがたしかにあった。固いような柔らかいような――隼人はそれをつまみ上げた。


 「…い…っ?! おま、なんで…! 瑠姫?!」


 目の前に持って来るや否やまたも奇声を上げる。またみんなの注目の的だ。

 
 「「「お姉ちゃんがこの教室にいるわけないでしょ!」」」


 弟たちに同時に突っ込まれた。


 「寝ないよりはマシだが今度はうるさいぞ!」

 「いや、あの…えぇはい…」


 くすくすという笑い声が上がる。そんなことも今は気にせず隼人は席に座ると手の中にある物体を確認しにかかった。


 「…お前さ、小さくなってるけど…瑠姫、だよな…?」

 「…そうですけれど、何か」


 そう。それは、紛れもない。

 見たところ10センチあるかないかといった身長に縮んでフィギュアのような姿になった、けれども目の前にいるのは瑠姫なのだ。


 「なんでこんなところにいるんだよ? しかもこんな姿で」

 「こんな姿になったのは覚えてるけど、なんでここに来たかは覚えてない。気がついたら床に倒れてて、踏まれちゃ困るからとっさにあんたにつかまってみた」


 瑠姫の話を聞いて、隼人はうーん、とうなる。


 「…俺熱あるのかな?」

 「私がそう思いたいよ」


 まったく、と瑠姫は机の上で体育座り。


 「とにかくさ、信頼できる人のところに飛ばしてくれないかな? ここだと安心していられなさそうだ」

 「え? 信頼? んじゃあ…」


 イコール自分が信頼されていないことは気にする風もなく(そもそも気付いていなさそうだが)瑠姫を掴むとポンと隣の席に移した。


 「…んじゃあって隣に渡されても…て」


 いたた、と掴まれた頭をさすりながら席の主を見上げると。


 「修ちゃんじゃん」

 「…え、そうだけど」


 瑠姫がここにいること――しかもこんな姿で――などは気にも留めず修は平然と答えた。


 「よかった。とりあえずは…どうなるかと思ったよ」


 安心した瑠姫は机の上に広げられたノートの上へと移動する。


 「今男子って何やってるのー?」


 呑気に言った瑠姫だったが次の瞬間見なければよかったと激しく後悔した。


 「…現代社会…」


 彼女の大嫌いで、苦手なもの。それは社会。


 「瑠姫って暗記モノは結構得意なのになんで社会だけダメなの?」

 「倫理とかならまだ大丈夫なんだけどね、チュランコロン? とか年号とかね、覚えても絶対使わないじゃん? 将来街で聞かれるわけでもないし?」

 「クイズ番組に出してもらえるよう後で頼んでおくよ」

 「意地悪…」


 それをいいことに修はいつもいじめてくるのだ。

 瑠姫はますます梗樺を恨んだ。


 「とにかく。午後から仕事が入ってるからそれまでに戻らないと」

 
 今の時刻は午前10時17分。


 「なんとかして元に戻らないと困る…修ちゃん、協力してくれるよね?」

 「さあね。俺だって忙しいし」

 「…最低っもう知らないっ!」

 「じゃあ机の上から去ってくれる?」

 「……それは」


 タイムリミットはあと3時間。どうする、瑠姫。







    →…続きはWebで!(次回へ続く。














⇒To Be Continued...

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