魔法の花屋さん
作者: 夏姫 みの   2009年05月06日(水) 13時42分01秒公開   ID:GyHdRp8fZOM
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「あの……付き合っている人に愛される花ってないですか? いつも、ほかの女の子ばかり相手するので、寂しくて……」

 女の人は浮かない顔をしている。それをハッピーにするのが、私たち魔法の花屋さんの仕事なの。
 絶対に満足して帰ってもらわないとね! 愛される花といえば……これかな。私の頭の中の花辞典では、きっとこの花しかない。

「それなら、情熱で赤いバラのほうがいいですよ。バラの花言葉は『愛』ですから。このバラの花びらの力を借りて、バラ湯にしてつかるのがオススメです。そうしたら絶対に彼氏さんはきっとあなたに夢中になる……いかがでしょうか?」

 私は笑顔で言う。これは営業スマイル。お父さんとお母さんから私が、まだ小さい時に「笑顔でお客様には接してね」とのことで、スマイルの練習を昔からしていた。ちなみに小さい時からお手伝いはしていて、店番は小学三年生からやり始めたんだよね。
 そして女の人は

「はい。ではぜひ、それをください!」

 来店時よりも顔が、ぱああっと明るくなった。瞳が輝いている。こんな顔が見れると嬉しいと、私は思う。お父さんもお母さんも、そうだったのかな? と、レジで会計をしてる時に思った。


「代金は五百六十八円です」


そう言ったとき、女の人はお金を払いながら驚いた。

「それにしても、一人で店番? えらいねぇ。何歳?」

女の人はバラの花束を持って聞いてきた。

「十二歳です。両親は他の魔法の花屋さんで、お手伝いをしたりアドバイスしたりしていますから。それで私はココで毎日店番をしているんです」
「まあ、十二歳で。うちの息子にも見習ってもらいたいわ。でも店番は毎日大変でしょう?」
「いいえ。綺麗なお花たちに囲まれて、私は幸せですよ。お花は昔から大好きなので」

私は微笑んだ。女の人はさらに驚いた。

「そうなの。あ、そうだ。私のお店でアロマセラピーのお店を出しているんだけど、暇になったらいつでもいいから気軽に来てね。後、私の名前は鈴川すずかわ かおり。よろしくね、あなたは?」

香さんは、にっこりとして私に名刺をあげた。

「私は草波 るかなといいます。よろしくおねがいします」

私は浅くお辞儀をした。そして、香さんはお礼を言って帰った。



***



その日の夜。


「た、ただいまー。るかなー肩もんでー……」

 お母さんがヘトヘトで帰ってきた。お母さんの名前は草波くさなみ ルナ。年齢は三十五歳。学年で一番若いお母さんランキング一位だ。しかも、とても35歳には見えないくらいの美貌を持っている。

「るかな、今日のご飯は〜?」

 今度は二分遅れで、お父さんが帰ってきた。お父さんの名前は草波 海斗くさなみ かいと。年齢は三十六歳。学年で一番若いお父さんランキングで、こちらも堂々一位。いつも授業参観についてくと、他のお母さんたちにキャーキャー言われる。
 まっ、そんなことはどうでもいいとして、私は今日の夕飯のカレーとサラダを出し、お母さんに肩をもんだ。
 肩をもんだとき、あれ?と私は思った。

「あれ? お母さん、なんかいい香りがするけど、何? この香り……」

私は肩をもみながら言った。

「これはね、仕事で六つ目の魔法の花屋さんに行く途中、アロマセラピーのお店に入ったのよ。これは……確かパンジーの香りだったかしら? 確か店員さんは二十代ぐらいで、おだんごに青い瞳をしていたかしら? とっても癒されたわ」

 お母さんは、うっとりとした顔で言った。けど私はハッとした。おだんごに青い瞳って…

「そ、それって今日きたお客様だよ?」

私は驚いた。お母さんが偶然にも、あのお店に行っていたなんて。

「えっ? その店員さんは何をお買い上げに?」
「赤いバラをお買い上げに……名刺ももらったよ?」

お母さんも驚いた。そしてすごい早いスピードで早食いして私に問いかけてきた。

「名刺? 名前は?」
「えーっと……香さんって言ってたよ」
「香さん、ね。今度お礼しに行かなくちゃ。カレーとサラダおいしかったわよ。明日の朝もお願い。じゃあ、お父さんとお母さんは明日も忙しいから、もう寝るね」


「うん、おやすみなさい」


 私は微笑んで言った。これが私のいつもの日常。だけと、なんか胸騒ぎがするんだ。自分でもわからないけど。




私にとって人生が変わる最大のことが――……。




と、洗い物しているとき、思った。


 もう眠くなってきたし寝よう。そう、私は思って寝た。その時も、まだ胸騒ぎはしていた。



***



――次の日


チリリリリリリリ……。

 私は、目覚まし時計の音で起きた。現在、朝の六時三十分。お母さんたちが起きるのは三十分後だ。とはいっても、私が起こすけど。


「あっ! 十分間で着替えと顔を洗わなきゃ!」


(まだ、胸騒ぎがするなあ。一体、何なんだろう?この胸騒ぎの正体は)


「えーっと……。今日は、目玉焼きとサラダとベーコンに……あっ!トーストも!」



AM 6:40

「え〜っと、まずは目玉焼き!」

 私はフライパンを暖めて、油を引いた。そして焼き終わり、次はベーコンを焼いてる間にトーストと手順よくすすんでいった。




AM6:59

 私はテレビの時計を見てはっとした。起こす時間がそろそろだったからだ。そしてお父さんとお母さんの部屋に行った。




ガチャッ……。




「お父さん、お母さん!朝だよーー!! 仕事遅れるよー!」


私は大声で言った。するとお父さんは大あくび、お母さんは眠たそうに布団から出てきた。そしてしたくをした。

そして十分後。やっとバタバタしていたのも、ようやく一段落した。

「いただきまーす!」

三人で言った。


「そういえばさ、今日、お店は休みにしといて」


お母さんが突然言った。

「えっ? どうして?」
「今日は息抜きとして、るかなは休み。昨日、よくがんばったしね。その代わり、香さんの店に行って、お礼言ってきてほしいの」
「わかった、お礼に行ってくるね。でも、もうこんな時間だよ?」

時計は7:45をさしていた。

「あっ!! 今日はいつもより三十分早いんだった!」

お父さんは時計を見て大声でいった。

「パパ、もっと早く言ってよ。でも、るかなが知っててよかったわ。先、ごちそうさまね」
「うん」

お父さんとお母さんは早くしたく(特にお母さん)をした。

「じゃあ、外出するときは鍵をかけてね。それにもし、知らない人が来てもあけちゃだめよ?」

お母さんは、やや早口で言った。お父さんは先に行ってしまった。

「うん、わかった。いってらっしゃい」
「いってきまーす!」

お母さんは行ってしまった。





「ふぅ……。家には私一人だけかー。開店時間が九時だから、九時三十分に行こう。それまでに課題と、部屋の掃除……やることがいっぱい!」


 私はそれまでに、課題と掃除を終わらせた。掃除のほうが課題よりもすごく大変だったけど、なんとか終わった。


「おわった〜!!」


 そう言うと、私はベットに横になった。疲れたのか、うとうとしてきた。そしてとうとう眠ってしまった。


「るかな……好きだ……」


そこには顔を少し赤らめて、きれいな青い瞳で私を見ている男の子がいた。


「えっ? 薫くん……?」


はっ……


(薫くんって誰!? なに?あの告白、何なの?)


そのときの私は、心臓がすごいドキドキしていた。そんなことよりも…


「あぁ!!! 寝過ごしたぁぁぁ!!」


時間は十時三十三分をまわっていた。
 るかなは急いで準備をした。


ガチャ……とドアを開ける。


「わぁっ!! しばらく見ないうちに桜がきれー!! ってそんな場合じゃない!」


るかなは名刺を見ながらその住所の通りに行った。





⇒To Be Continued...

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