金の太陽 銀の月 序
作者: めるる   2009年10月08日(木) 01時10分36秒公開   ID:s2/IWHRoys.
パラパラと降り始めた小粒の雨が、森を濡らす。
空は灰色に染まり、雲は暗く唸っていた。

「おかあさん」

静まり返った森に子供の声が木霊こだまする。
鬱蒼とした不気味な森の中で、子供は自分の母親を探していた。

「どこにいるの?」

子供は静かな森と母親がいないことにだんだんと不安と恐怖を感じ始め、足早に森の中を歩いていく。
パキンと枝を踏む音が森の中に響いた。
それに反応して、獣たちが目をギラギラと光らせ、草叢くさむらから子供を睨む。
しかし、子供を襲おうとはせず、遠巻きに見ているだけだった。



***



どれほど歩いただろうか。
子供は疲れてきたのか、フラフラと左右に揺れながら歩いていた。
髪と服は雨で濡れ、靴は泥だらけになっていた。
森への出口も母親の姿も見つからない。

「おかあさん!」

大きく叫ぶように呼んでも、返事は返ってこない。
子供はついに歩くことをやめ、その場に立ち尽くした。

もしかして、自分は母親に捨てられたのだろうか。

そんな幼い子供に似つかわしくない考えが、ふと頭の中をぎった。
自分が周りの人間に快く思われていないことを子供は知っていた。
だから母親もそんな自分を嫌ったのではないか……と子供は不安になる。

「おかあさん……」

目にうっすらと涙を浮かべ、また母親を呼ぶ。
すると、ガサッと前方の草叢くさむらが揺れた。

「!」

子供はビクリと体を強張らせ、草叢くさむらを見つめる。

「おかあ、さん?」

母親かもしれないと、子供は勇気を振り絞り、草叢くさむらに近付く。
恐る恐る草叢くさむらを掻き分けると、そこには赤い靴が片方だけ落ちていた。
子供はその靴に見覚えがあった。
この靴は自分の母親のものだ。

きっとこの近くに母親がいるのだと、子供は期待し、赤い靴を手に持って草叢くさむらの奥へと走って進む。

「おかあさん!おかあさん!!」

子供は母親を何度も呼びながら、草叢くさむらを駆け抜けていく。

その近くに倒れている“立ち入り禁止区域”という看板に気付かないまま。



***



草叢くさむらを抜けていくと、そこは森の端にある崖だった。
いつの間にか雨は止み、空は黒に染まっている。
母親を探しているうちに夜になってしまったらしい。
肌寒い風が子供の髪を揺らした。

「……」

子供は崖の方を見つめたまま、動かなかった。
いや、動けなかった。

「……おかあさん」

目の前に子供の母親だったものがいた。
白い両腕はだらんと力を失い、地面に垂れている。
長いロングスカートと足は泥に塗れ、片方だけ靴を履いていなかった。
長く艶やかな金髪は少し泥が付いていたが、月の光が当たってキラキラと煌めいている。

そして、その首に大きな獣が噛み付き、そこから血が絶えることなく流れ、母親の白い肌を赤く染めていた。

大きな獣は銀色で狼のような風体をしていた。
月の光に照らされ、まるでこの世の生き物ではないような幻想的な雰囲気を醸し出している。

「あ、ああぁぁ……」

子供は顔をくしゃりと歪め、目から大粒の涙をボロボロと零す。
気力を失い、倒れるようにその場に座り込んだ。
銀色の獣は母親の体を喰らいながら、子供に視線を移す。
紫色の目が妖しく光った。
そして母親の死骸を子供のほうに放り投げる。

「ひっ!」

足に母親の死骸の髪がかかり、悲鳴を上げる。
頭を両手で押さえ、ガタガタと震えながら涙を零した。
銀色の獣はゆっくりと音も立てずに子供に近付いてくる。
口元は母親の血で赤く染まっていた。

子供は逃げようと、後ろを向く。
背中を見せた子供に銀色の獣は素早く飛びかかった。

「うあっ」

ドスンと背中に圧しかかられ、肺が圧迫される。
そして長く鋭い爪が背中を切り裂いた。

「かっ……〜っ!!」

痛みに子供の小さな体がビクンと痙攣する。
血が飛び散り、子供の体を赤く染めていく。
銀色の獣の舌が子供の首筋を舐める。

そして子供は意識を失った。
■作者からのメッセージ
ちょっとグロイですかね;;
意味不明な文章ですいません!

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