少女Aの後悔 | |
作者: 神田 凪 2009年09月18日(金) 18時10分32秒公開 ID:Fpk3UqE6X6I | |
何て夢を見たんだ。つーか私の中の神様はどんだけ軽いイメージなんだ。 通学路を歩きながら、延々と考え込んでいた。 今日ほど学校に行きたくないと思った日はない。 昨日、女生徒に体育館裏に呼び出された一ノ宮様を助けてあげると不本意ながら友達になって!と言われた。反射で頷いた自分を殴りたい。 いかにも少女漫画の主人公タイプの一ノ宮未来様は、一体私の何がそこまで気に入ったのか。教えて欲しい。そうしたらその何かを素早く悪くするのに。 って、待てよ。 相手はあの一ノ宮未来様だぞ。友達なんてたくさんいるあの一ノ宮未来様だぞ。(大事なことなので二回言いました) そんな大人数の内の一人になるだけではないか。 なぁんだ、心配して損した。 そうだよ。あはははは、何をそこまで考えていまったのか。 自意識過剰だよ。まったく。 で、 「おはよう。新木さん」 にっこり。 天使の微笑みが目の前にありました。 あれぇー? 「あ、友達になったのに新木さんは変だね。千歳ちゃんって呼んでいい?私のことも未来って呼んでね」 どうしてこの方は私の目の前にいるのでしょうか。 靴箱でシューズと履き替えて、教室に入ると待っていたかのように一ノ宮さんがいた。周りには誰もいない。昨日までいたお友達は何処へ? っと、いますよ。教室の端に。 何かすっげぇー睨んできてますけどっ! 何でお前が的な目で見てますけど!! 「あ、のぉー・・・一ノ宮さん?」 「もう!未来って呼んでって言ったでしょ」 「一ノ宮さん」 「未来」 「・・・未来ちゃん」 「なぁに?」 この小悪魔! でも可愛い! 「いつも一緒にいる皆さんは?」 「いつも一緒にいる・・・? 私誰かと一緒にいたっけ?」 きょとんとした顔で首を傾げる。 え、まさか。 「いるでしょ、山岡さんとか斉藤君とかといつも・・・」 「ああ! でも少し話す程度だよ。そんないつも一緒ってわけじゃ、私がいつも一人だったから可哀想で話してくれてただけだよ」 んなわけあるか。 特に話していた二人の例を挙げると、一ノ宮さん・・・未来ちゃんはそう言った。 二人が一生懸命未来ちゃんと仲良くなろうとしていたことに気付いていなかったのか。 「だからね、この学校で女の子の友達って千歳ちゃんが初めてなの」 照れたようにそう話す未来ちゃんはとても可愛い。 可愛いが、今ものすごい爆弾発言をしなかったか。 「え? どうしていきなり友達になってって言ったのか?」 食堂の席に座ったところですんごく気になっていた事を聞いてみた。 ちなみに早くも昼休みだが、いろいろあった。 学校のマドンナ的存在と言っても良い未来ちゃんと仲よさげにしかも二人っきり(今までは最低でも3人以上だったらしい)で話すどうみても普通すぎる私。 羨望というかほとんど嫉妬の視線が数多く送られた。 現在進行中です。痛い、視線が痛いってこういうことを言うんだ。 「いきなりじゃないよ。ずっと前から友達になりたいなーって思っていたよ」 もぐもぐとナポリタンを食べながら未来ちゃんは笑った。 小動物のようだ。和食定食を食べる私とは大違いだろう。 前も言ったが、無駄に設備のいい我が校では食堂はそこら辺のファミレス以上だ。 メニューは豊富で安い。人気が多いため人も多い。 そのため、多くの人がこっちを見ている。 目がぎらぎらで、怖い。特に男子生徒!素直すぎるのもどうかと思うぞ。 「千歳ちゃんはいつも気付くと姿がなくて、なんでだろうなぁーって気になっていたの」 あれか。 視線に入らないように気を付けていたのが逆に気になる要因になったのか。 つまり自業自得。 「千歳ちゃん? どうしたの?」 「いや、自分の馬鹿さに泣けてきただけです。何が神様馬鹿ぁーだ思いっきり自分のせいじゃん。神様ごめんなさい」 机にうつ伏せになって唸る。 心配したようにおろおろする未来ちゃんに思わず癒される。 ダメだ自分。絆されているぞ。 ここで断らないと本当に『普通』の日常がなくなってしまうぞ。 よし。頑張れ私。 庶民のど根性見せてやれ。 「未来ちゃ ざわっ 私の言葉は周りのざわめきにより途切れてしまった。 何このタイミング。 いらっときたよ。 何なんだよぉ。 人がものすごっい勇気を持って言おうとしていたのに。 「あ」 と、未来ちゃんが何かをみつけたのか声を上げた。 え、何?と私もその方向を見た。 「あれ? 何だか珍しい組み合わせだ」 げ。 辺りの女子の目がハートに見えるのはきっと気のせいではないだろう。 そうか、だからあのざわめきか。 「榊くん」 「や、一ノ宮。俺も一緒に食べて良い?」 そこにいたのは。 昨日の呼び出し事件の原因と言ってもいい人物。 スポーツ漫画的主人公タイプ。 NEXTSTORY→ |
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