これCry Lovers 第16楽章 不安なだけ、なのかな
作者: なぁび   2009年09月07日(月) 22時58分08秒公開   ID:sw0xlSukK4E
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 一向に待っても何の感触もなかった。



 ――…? もしかして、終わった、の…?





 恐る恐る瑠姫は目を開けてみる。すると、なぜか視界に春海の姿はなく、代わりに視界に映ったものは。





 「貴方うちのバンドのリーダーに何してくれてるんです」




 珍しく怒りをあらわにした霧斗だった。春海の胸ぐらをつかみ、今にも殴りかかりそうな勢いだ。




 「き、霧斗…! ダメ、私はいいから、ダメ!」



 瑠姫が慌てて霧斗の腕を掴む。が、所詮は女子の力。瑠姫もろとも春海に降りかかろうとする。




 「ちょ、ま…俺、まだ何にもしてないし!」


 「…まだ? じゃあ何か予定でも?」


 「霧斗!」



 瑠姫の必死な叫びでやっと冷静に戻る霧斗。しかし静かな怒りは健在だ。



 「…瑠姫さん、何してたんですか? 打ち合わせ始まってますよ、10分前から」


 「え、あ! 本当だ! ご、ごめんなさい、一谷さん!」


 春海の方を振り返り、一礼すると瑠姫はそそくさと先に出て行ってしまった霧斗の後を追った。










 「…ごめん、霧斗。私、リーダーなのにね」


 いつもながら無愛想な背中に瑠姫は呟いた。


 「こんな大事なこと、忘れて…あんなことしてたなんて…私リーダー失格かもね」


 「Mid☆Skyのリーダーは瑠姫さんですよ。ほかにまとめられるリーダーはいない」


 「でも、私…」


 「でも、好きな人がいるのにあんなことは許せませんね」



 瑠姫の言葉を無視して霧斗は言い放った。



 「なんで? そんなに簡単な恋なんですか?」








 ――…違う。





 
 「どんな理由があったにしろ、誰かに目撃されてたら大変なことになってたじゃないですか」







 ――…それは、そうだけど。






 「説教臭いですけど、僕たちこれでも公人なんです。しっかりしましょう?」






 ――…そりゃそうだけど、霧斗には分かんないよ。










 心の中で思うだけで、全て口には出せずじまいだった。









⇒To Be Continued...

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