これCry Lovers 第10楽章 似た者同士
作者: なぁび   2009年08月17日(月) 18時37分16秒公開   ID:sw0xlSukK4E
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 人々を共感させる。

 言うは易し、行うは難し、とはこのことであろうか。



 「うーん…たはぁ」

 ロックフェスティバルまであと残り1ヶ月を切ったある日。

 「はっふうぅぅ…」
 「瑠姫…変なため息怖いよ」

 Mid☆Skyのメンバーは悩んでいた。

 「だって…焦らなきゃいけない時期でしょ…? なのに時間ばっか過ぎてくし」
 「ご、ごめん…あたし、柔道部の助っ人に行ってて」

 残り1ヶ月もない。と、いうのにまだ詩すら完成していないのだ。これは焦る。

 「とりあえず楽器の方は上達しましたよ。僕のお父さんに指導してもらったんで」

 霧斗が平然と言うが、詩が出来るまでは楽器云々と言うところではない。

 「とりあえずは練習に時間を費やさないと…って思うけど…」
 「まぁ、でも無理して考えてもあれだし…」

 なんだかんだ言っても今、この5人が欲しいものは時間。ゆっくりと考える時間が欲しい。

 今日は泊まりがけ、徹夜で作業を行う予定だ。今日はちょうど金曜日、集まったのは渚の家。
 ここなら少なくとも部屋はたっぷりある。それから、欲しい時にご飯だって出るだろう。

 「あーカラオケ行きたいーサッカーしたいーバスケしたいー歌を歌いたいー…」
 「…あーあー瑠姫が壊れた…」

 瑠姫がわがままになるのも無理はない。いちばん苦労しているのは彼女なのだから。
 他のメンバーが考えてないだけではなく、彼女が自ら苦労を背負っているのだ。正直、過労で倒れるんじゃないかと心配になってしまう。

 「あんまり無理しないでね? 仮眠とかとってもいいから」
 「そしたら時間がなくなるからいい…せめて完成してからにする」

 まったく。と、渚は思わずため息をついてしまった。家族が心配するのも分かる気がする。
 昔から瑠姫は頑張り過ぎなくらい頑張り屋だった。それが周りにとっては、心配で心配で。

 「…もうさ、みんな思ってること言ってみようか?」

 不意に梗樺が提案した。

 「思ってること? なんでもいいの?」
 「うん。なんでも。でも腹減ったとか寝たいとかそういうのはなしで」

 そこから何か紡ぎだせないか。梗樺はそう考えた。

 「え? だったら…身長が欲しい。せめてあと1センチ」

 そう言ったのは、瑠姫。

 「身長って…きっと伸びますよ。僕は…最近瑠姫さんと渚さんが可愛くなったなぁと思います…変な意味ではなくて、素直に」

 これは霧斗の素だ。もちろん、瑠姫と渚は少なからず頬を朱色に染めた。

 「え、じゃああたしは…兄ちゃんに彼女が出来てうるさくて寝れなくなった」
 「俺、最近姉ちゃんにナース服着せられそうになった」

 しばしの沈黙が、5人の間に降りた。

 「…私たちって…」
 「ここまで生きて来て」
 「毎日をさ、無駄にしてるって言うか」
 「はっきり言って…」

 「ろくなことに使ってないね…」

 結局無駄な時間を過ごしてしまった気がして、今、5人は猛烈に後悔しているのは間違いない。

 「もうダメだこりゃぁーねぇぇ…」

 このままではいろんな意味で瑠姫が壊れてしまう。

 「とりあえず。あたし、思ったんだけど…言葉を掛けてみたら?」
 「言葉を掛ける? どういうこと?」
 「例えば、nightナイト(夜)とknightナイト(騎士)とか?」
 「あぁ、似た者同士をね」

 そうすれば、語呂はよくなるであろう。梗樺はそう思った。

 「rightライト(正しい)とlightライト(光)とか?」
 「singシング(歌う)とsongソング(歌)くらいなら大丈夫じゃないですか?」
 「じゃあthingシング(物、物体)とsingシングとか」

 みんながアイディアを出してくれるが、瑠姫はどれも納得がいかない。
 悩んだ挙句、瑠姫は唐突に叫んだ。


 「…観客席に、愛と笑いを…っ!」








⇒To Be Continued...

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