意地っ張り子猫シッターさん★Ver7
作者: なぁび   2009年05月30日(土) 01時40分25秒公開   ID:/fJk2R0adB.
【PAGE 2/2】 [1] [2]





 とりあえずみんなは隔離
 部屋に俺1人。ご飯とか作りに行くのめんどくさいし、薬とかも持ってくるのめんどくさい。
 だから寝る。今は何も食べたくないし、起きるのもたるいし…。

 「…失礼します…李玖先輩…大丈夫?」

 朦朧としてきた意識の中、どこかでみたいな声を聞いた気がした――…。











































 なんだか頭に触れるぬくもりが気持ちよくて、もう少し、このままで眠っていたい…。
 うっすら目を開けると、視界がぼやけ、何も見えない…。
 しばらくたってピントが合ってくると、俺はあることに気づく。
 
 「ゆ…え…?」
 「あ、目、覚めました?大丈夫ですか風邪…」

 誰もいないはずのこの部屋に月がいた。 

 「ゆ、え…?風邪うつるから帰れ…?」
 「え?先輩の風邪ならむしろもらいたいくらいです♪…あ、そうそう!俺お粥作ったんで!先輩お腹減ってるでしょ?」

 そう言って月が俺のベッドの横に置いたのは…おいしそうな…卵粥
 …だめだ、お腹すいてきた…。

 「先輩、食べられそう?無理しなくてもいいよ?」
 「…少しだけ」

 月は俺の体をゆっくりと起こし、自分のパーカーをはおらせてくれた。
 それからゆっくりと俺の口にお粥を運ぶ。

 「先輩、ゆっくりでいいからね?」

 月が俺の背中をさすりながら言った。

 「ん…」

 俺は本当にゆっくりゆっくり食べた。俺にとっては精一杯なんだけど他の人から見たらイライラするくらい。
 それでも月は、何も言わずにずっと食べさせてくれた。

 情けない。後輩に頼ってる。甘えてる。

 「じゃあ俺片づけてくるから、先輩は薬飲んでるんだよ。じゃないと風邪治らないからね?」

 子供じゃないんだから。そう言ってやろうと思ったけど、今は、なんでもいいから誰かに思いっきり甘えたい。

 薬を飲んですぐ、月が戻ってきた。

 「大丈夫?何かして欲しいこととかない?」

 その優しさに、包まれたい。

 「…月、帰っていい」

 俺が、子猫に戻ってしまう前に、帰れ。

 「え?なんで?…こんな先輩放って帰れないし」
 「いいから…」

 本当は、帰らないで。ずっとここにいて。1人は嫌だ。

 「帰んないと…親とかも、心配、す、る…だろ…?」

 本当に情けないと思う。なんで今、泣いてしまうんだろう。ここには…月がいるのに…。

 「…なんで遠慮なんてするの。自分のキャラじゃないから?…でも言わないと通じないんだよ?」

 月は…俺の頭を撫で始める。優しく、そっと俺の頭に触れるんだ。
 普段はうるさい奴だけど…こうやって、時々は優しいところもあるって、俺は知ってる。



 「月〜…」

 その優しさは、俺だけに向けられてて欲しいな。
 もっとその優しさに触れたくて体を起こす。月は支えてくれる。抱きしめてくれる。

 「俺はいつでも先輩の隣にいるよ。いつでも呼んで。必ず行くから

 その言葉にまた涙が出て…それからずっと俺は泣いていた。
 しまいには泣き疲れて月の胸の中で寝ちゃってたり…。









 「先輩、大好きだよ」  









 「…俺も…だ、いすき…」














 人間、努力するのも大切だけど

                                  時には誰かに甘えたくもなる








   
でもそれだってて大切な努力なんだと思う――…。  












■作者からのメッセージ
今回は甘いです…甘くなっちゃいました☆

■一覧に戻る ■感想を見る ■削除・編集