交差する彼らの居場所  行間 一
作者: 悠蓮   2009年05月24日(日) 00時05分57秒公開   ID:XnxKweJ8Y8w
深夜。
多くの人が眠りにつく時間だがどうやら都会はそうでもないらしく、今も多くのネオンで街が照らされている。その都会の一角。不気味静まりかえる場所があった。特に何があるわけでもないが、人々は皆自然とその場所を避けて歩く。
 その空間だけぽっかりと穴が開いたようだった。そんな不可思議な場所の中心に彼女は居た。
「ふふ。コンバンハ」
 彼女の目の前にいるのは四枚の羽を持つ小さな少女。
 彼女は少女に向かってゆっくりと手を伸ばす。少女はなぜかその場から動くことができなかった。
 少女捕まえ、彼女は誰に言うでもなくつぶやく。
「あーあ。簡単すぎてつまらないわ。もっとおもしろいことないかしらね」
 そう言ってもう一度少女のほうを向く。少女は怯えてろくに反応することすら出来ない。
 おもむろに彼女は少女へと手を伸ばし、その頭の中へ手を――正確には指を入れた。
『ーーっ! ーーっ!』
 声を出さない少女の聞こえない悲鳴。
彼女は自分の手を伝い、少女の記憶を読み取っていた。
「……やっぱりそんなおもしろそうなものはないなあ」
 少女の記憶は少女を追う魔道師の姿だけだ。それぐらい彼女も承知している。
「? あら」
 そう思っていたら少女の記憶に魔道師ではない者の存在があった。
 魔道師でもないのに少女を認識する少年。
 彼女は少女から指を引き抜いた。
「あの子、もうしかしたら……」
 少女の記憶にある少年の顔を脳裏に焼け付けながら、彼女は思った。

「おもしろいもの見ぃーつけた」



 闇夜に彼女の笑い声だけがずっと響いていた。
■作者からのメッセージ
行間です。
ヤンデレ少女降臨。

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