BLADE OF SWORD 第十二夜
作者: 清嵐青梨   2009年05月11日(月) 17時32分01秒公開   ID:L6pfEASBmTs
その日の昼休み、一人とサーヴァントで今後の行動について考えようと思い士郎と一成との昼食を断り、自販機のある外へ出ようと生徒玄関へ向かっていた時、廊下で丁度ばったりと桜とその義兄・慎二の二人に出会ってしまった。

大事な話をしていたのかもしれないし、単に義兄弟同士の喧嘩をしていたのかもしれない。よく見ると桜の表情が少し強張っているように見えた、何かに怯えているような、そんな雰囲気が出ているのだが義兄弟同士の喧嘩に自分が首を突っ込むわけにも行かない。
兎も角その場を一刻も早く立ち去ろうと思い桜と慎二に軽く挨拶をして外へ向かおうとした時、高嶺…今日の放課後空いてるかな?と慎二が立ち去ろうとしていた俺に向けて言った。




「空いてるけど…何だ?」

「僕の教室に来て呉れないかな?二人っきりで話があるんだよね」
「男同士の話か…良いよ、じゃあ放課後お前の教室で」




あっさりと終わっちゃった話だが、この方が早く時間が短縮されるので助かる。慎二は満足そうな表情をして、じゃあまた後でね…と言って義妹から離れ自分の教室へ戻っていった。

やっと邪魔者が行ったか…俺はふーっと溜め息を吐き桜をちらりと見て、それじゃ俺も行かなきゃ、と言って彼女に背を向けようとした時行き成り彼女が後ろから俺の制服を掴んで引き止めてきた。振り向くと彼女は上目遣いで俺を見て、ふっと笑みを浮かべると先ほど手に持っていた弁当袋を俺に差し出して、今日高嶺先輩。衛宮先輩の家に来られなかったので、と言った。


確かに俺は今朝の朝食を家で済ませてしまったので、すっかり昼食の分を作りそびれていたんだった。このままコンビニ弁当を買うのが手っ取り早かったのだけれども、矢っ張り桜の作った弁当の方が何十倍も美味い。




「あ…有難う桜」

「いえ、高嶺先輩はコンビニ弁当を一切食べない方だと先輩から聞いたことがありましたので」
「士郎が…、後で士郎に礼を言っておかなきゃな。そういえばこの弁当の中身、」
「高嶺先輩の大好きなものが入っていますよ」




桜はふっと天使のような笑顔を見せると、それじゃ私はこれで…と言って俺に向けて軽く手を振ると彼女もまた自分の教室へと戻っていった。


その後俺は外に出て自販機で缶コーヒーを買い、早速弁当箱の蓋を開けると桜の言うとおり中身には自分の好物の出汁入り卵焼きが入っていた。
本当に後で士郎に礼を言っておこうと思い嬉しい気持ちで早速箸で出汁巻き卵を掴み食べようとした時、口の中に入ったのは卵焼きではなく何故か箸だった。

あれ…。俺が掴んだ筈の出し巻き卵は何処行った…?目をきょろきょろさせていたら後ろから、ふむ…これは美味だな、と聞き覚えのある声の感心の一言が聞こえた。箸を口から出して振り向くと今朝と同じくアサシンが勝手に霊体化を解いて現界しており、その細い指には俺が手にとっていた筈の出し巻き卵を食べていた。


俺は無言でカチャリ…と箸を箸入れに仕舞い弁当箱をベンチに置いて立ち上がると、右手で日本刀を投影をすると満足そうな表情をしている侍士に向けて、




「何勝手に俺の出し巻き卵を食べてるんだぁああああああああああああああああっっ!!!」




と、怒りの篭った声を張り上げ刃を振るうがあっさりとそれを見切られてしまい避けると、食べる前に先ず私に試食させるべきであろう、と飄々とした調子でふっと呆れた笑みを浮かべ俺を見る。




「…サーヴァントは普通調査に出るんじゃなかったっけ?」

「キャスターの約束を忘れたわけではあるまいな?ユウだけでなく葛木殿の護衛も頼むと…」
「う……忘れてはないけど今のところ他のサーヴァントの動きはないだろうから…って、あー!!俺の出汁巻き卵食ったぁぁ!!」
「まだ一個目であろう、小さなことで喚くな。はしたない」
「う……真逆お前にはしたないと言われるとは」




其処でグ…と押し黙った俺にアサシンは指についた汁をぺろっと舐め取り、ほらユウも食べては如何かな、桜という女子が作った出汁巻き卵…中々の美味であったぞ、と言ってスゥ…と霊体化して行った。

俺はそれを見送り再びベンチに腰掛け箸入れから箸を取り出して、念願の出汁巻き卵を取り口の中へと入れ頬張り始める。
確かにアサシンの言うとおり、桜の作った卵焼きは最高に美味しかった。
■作者からのメッセージ
※ふとこのシリーズでギャグを書いたことないなーっと思ったので試しに。
 そして薄々思い出したんですが、ランサー用の偽臣の書を主人公に持たせるのを忘れてた(ぉぃ  ま、いっか。それを持ってても使わなさそうなので。

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