不幸天使の奏でる旋律
作者: なぁび   2009年04月06日(月) 01時19分24秒公開   ID:89YSA/2p28I

彼女は一心不乱にピアノを弾いていた。

いつも弾くのは同じ曲だった。弾き終わったら、繰り返す。の、繰り返し。



 
ショパン 練習曲第3番 ホ長調 「別れの曲」




彼女は明日、転校する。

思うことは、ひとつだけ。



ピアノの調律、合ってるといいな。



友達なんて、そんなものいらない。

ピアノさえあれば、それでよかった。

どうせ皆、私のことなんて、まるでいないように振舞うんだから。

それは、今に始まったことじゃないけれど。

大丈夫、私はー…

彼女は自分に言い聞かせる。

私は、人間じゃない。

「彷徨える魂よ、お眠り…」

いくつかの霊が、天界に送られていった。
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