01,救世主は死に至る
作者: 零   2009年03月29日(日) 11時58分44秒公開   ID:NqbpUpPD62U


 ヒュウゥと唸る風。


 怪我だらけの右手に持った自分の武器日本刀


 目の前には自分をぐるりと囲んだ敵。


 

 「やってやろうじゃん・・・!」



 そう一声上げて攻撃体勢に入る。


 刀を一振りすればすぐに倒れる雑魚達。




 「・・・くそっ」


 走る走る走る。


 もう何回この行為を繰り返しただろうか。


 体は即にボロボロ。でも走らなければならない。


 大切な幼馴染千鶴を取り戻す為に。



 「クス」


 薄暗い通路に響く笑い声。



 「よく此処まで辿りついたね。エルレミーリア」



 白に水色が混ざった髪と白の瞳。

 服も,何もかも白の,自分と同年代くらいの少女。



 「その名前で呼ぶな・・・白狐ビャッコ。それより千鶴は何処」


 「クスクス。まぁそう急がないでよ。千鶴チャンなら無事だよ」


 「・・・・・・」


 千鶴が無事だという事に安堵したものの,赤の眼光で白狐を睨む。


 「・・・お前を倒す!」


 「カッカッしない。昔からそうだよね,エルレミーリアは」


 

 カチャッ・・・


 もう我慢出来ない。



 憎しみが頭の中を支配する。



 刀を構えて白狐に斬りかかった。



 シュッ――――――・・・



 後ろを見ると壁に引っ掛けてる細く,鋭いワイヤー。


 ザシュウゥウウッ!!!


 しまった,と思った瞬間に自分の身から血が流れてゆく。




 視界が真っ暗になって,倒れた。




 最期に微かに聞いた声。



 「バイバイ。よかったね,千鶴チャンと同じ所に行けて」



 そんな声を聞いて,絶望した。















 
救世主は死に至る



  




 
(救世主は一番大切なものを救えなかった)



 


 
■作者からのメッセージ
反転1箇所。

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