そして僕等の日常は。 | |
作者: 神田 凪 2009年03月25日(水) 15時23分11秒公開 ID:Fpk3UqE6X6I | |
[回想中] 喉がからからになって、心臓がバクバクして、ものすごく勇気を奮って俺は言った。 「付き合ってください!」 「ごめんねぇ。無理」 相変わらずかわいい顔と声で愛美ちゃんは笑った。 「愛美ねぇ、別に佐川くんのことは嫌いじゃないんだよぉ。でもぉ、友達とかしか見れないって言うのぉ」 舌足らずな言い方。でもそこが可愛い!! 「それにねぇ・・・」 そこまで言って、愛美ちゃんの顔がポッと赤くなる。 え、まってこの展開って・・・ 「愛美ぃ、祐介先輩が好きなのぉ」 やっぱりかぁー!! [回想終了] 「今思い出すだけでも泣けてくる・・・」 「この回想で分かったのは、お前の人選が悪いってことだよな」 「何!?」 「お前、顔で選んだだろう」 「それの何処が悪い!! 可愛い子はもうなんでも許す気満々です」 「開き直ったな」 「それにしても、祐介さんか。まぁ妥当といったらそうか。あの人は、もう次元が違うからな」 智弘は俺のことを慰めにきたのか追い込みにきたのか、どっちなんだ。 「そりゃ、面白そうって思ったからだろうが」 このドS!! 「ま、とりあえず好きになった奴が悪かったと思って忘れろ」 「ああーううぅ、何であいつなんかぁー・・・」 「あいつって、お前祐介さんのこと考えてみろよ。すぐ分かるだろうが」 「い・や・だ!」 あいつってあれだろ? 頭はべらぼうに良くて。毎回学年一位。スポーツだってどんな競技に出てもヒーローになれちゃいます☆的な奴で。顔もそこら辺の芸能人並みに良くて、他校にもファンクラブが出来るほど。喧嘩も強くて、男にも女にも人気の高いむかつく奴!! 「うん。嫌だと言ったわりにはくわしい説明をありがとう」 「がーっ!! 思わず!」 「それで分かるだろう。大抵の女の子は一度は好きになるタイプだぞ」 「そんなこと言ったって・・・だって・・・」 「・・・まぁ、気持ちは分かるが」 ドタドタと廊下の方から慌ただしい音が聞こえてきた。 「お帰りかな」 ポツリと智弘が笑いながら言う。 「こうちゃん!! 女の子に泣かされたって本当か!」 ガターン、とドアが壊れそうな勢いで入ってくる美形。 「お帰りなさい祐介さん。お邪魔してます」 「くっ、何しに来たドS!! さっさと出ていけ」 「嫌だな。俺は浩介から、呼ばれて来たんですよ」 「な、何!? こうちゃんなぜにこいつを呼ぶ!」 祐介・・・こと 正真正銘俺の兄貴だ。 「うっせぇー!! この泥棒猫! 愛美ちゃんの心を返せっ」 「こうちゃん!?」 似てもにつかない兄弟。 やはり、神様は完ぺきな人間をつくらないらしい。 この兄貴の唯一な欠点。それが、 「こうちゃんっ! お兄ちゃんが何かした? 謝るから怒らないで! 嫌いになんないでね!」 ブラコン・・・いわばブラザーコンプレックス。 「元から兄貴なんて嫌いだぁー!!」 俺のときめき恋心と、愛美ちゃんの心を返せ!! (返して貰ったところで自分にその心が向かないことに気付かない) |
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