カミサマの唄
作者: Miki   2008年06月15日(日) 17時43分57秒公開   ID:QGsO1NMPKs.
あなたに惹かれたのは、
あなたの瞳のせい。

汚れた色なのに
綺麗に思える。逃げられない。そらせられない。綺麗な瞳。

ピチャ・・・ピチャン。

水の落ちる音

「はぁ・・・ッ」

人の呻き声。

「あんたは誰?」

私の言葉。


彼はびっくりしたように立ち上がる。

でも、それは一瞬で大きく開いた眼が細くなっていく。

「華南?」

「華南。」

彼はプッと噴出すと、自分の頭を掻いた。

「違うなァ・・・。やっぱ。」


この人は誰だろう。

凪(伯父)に良く似た...。
真っ黒な瞳。

「兎みてぇ...。」

男は私に顔近づける。

「真っ赤だな。眼。」

「あなたは..。誰?」

彼は呆れたような顔をすると、

「シオン。」

「カタカナで?」

「知るかよ。」

「早く、退いてよ。伯父さんになにか言われちゃう。」

「何かって?」

「性教育ってやつ?」

彼はまた噴出した。失礼である。

「わりぃ...。恥ずかしくないわけ?」

「なんで?」

本当に意味がわからない。何故。恥ずかしがらなきゃいけないのだろう。

「変な奴...。」

腕を思いっきり引っ張られた。勢いにのって体ごと引っ張られる。

唇に何かがくっつく。

「気に入らない。」

「ありがとう。」

似てる。やっぱり、似てる。凪に。

真っ黒の瞳とか、笑ったときの眼とか。

容姿は全然違うのに。

「怪我。治してやる。」

「ん・・ああ。」

顔に数箇所怪我をしてる。火傷、擦り傷だと思う。

「救急箱は?」

「無い。」

いい加減な返事だ。

でも、やっぱり痛そうだから。無意識に華南は彼の腕を引っ張る。

「な...。」

彼女は傷を触る。

「あんた、※癒し族か?」

※癒し族・・・、七貴族に入る属性

華南は大きく首を振る。

「じゃあ、あんたは...。」

言い掛けた途端華南は横に倒れた。

眼を閉じている。もがいてる訳でもなく、シオンの胸に勢いよく倒れた。


シオンはただ華南を支えていた。
■作者からのメッセージ
作者からのメッセージはありません。

■一覧に戻る ■感想を見る ■削除・編集