月乃抄
作者: 白夜   2008年06月12日(木) 19時54分20秒公開   ID:QGsO1NMPKs.
「何ここ...。」

「見て解らないの!!お好み焼き屋さんよ!!」
彼女の頬に涙の後が...。

「なんで?」

「一人じゃ恥ずかしいから来たんでしょ!月臣と!」

焼き芋屋さんならわかる。でもさ、映画館貸切にまでできるんだろ?

「映画は2人で見るためにあるじゃない。お好み焼き屋さんは大勢で味わうものなの。」

萎びたお好み焼き屋さんは、彼女のイメージにまったく合わないと言うか。

「ヘイッ!!お待ち!!」

高校生には合わないな。この店。

そして、この後、何時間お好み焼きを食べつづけたか....。


「んはぁー!!」

女子高生が奇声を上げる。変な光景だ。

「うんまかったねーー。もう最高!!」

「いや、道端で辞めようぜ...。」

何故、高校生がおやつの3時まで、お好み焼き屋にいるんだろうね。本当に。

「んじゃ、ハイこれ」

「あー。ハイハイって!!」

5千円!?

「お好み焼き代。5240円。細かいのは明日払うから。」

「いや、良いって!!つーか、こんなの辞めろよ!」

「いいの。ってか。むしろいらないから。」

「いらないって...。」

彼女は少し考えるともう一度話し始める。

「それはさぁ。あたしのお金じゃないから。」

「はぁ?」

「親が毎月送ってくれんの。10万円ぐらい?」

「いないの?いつも?」

「うん。居ても。居なくてもさ。振り込んであるの。」

「そんな...。まるでいないみたいじゃん。」

「いないんじゃない?」

彼女はさっきみたいに泣きもせず。後ろを向く。

「私はいないの。何処にも。」

「馬鹿なこと...。」

「馬鹿よね。月臣にも昔言われた。」

少しズキッとした。
何故か何故か。そう何故か。

「月臣とは幼馴染なのに全然違うよね。性格が。」

「違うって?」

「全然、違う。性格も考え方も。だからさ。」

「だから?」

「あたしは君のこと好きなんだ。」

告白。と受け取っていいだろう。

「なんで?!」

「いいじゃん、別に。」

「よくない!よくない!!」

「んじゃー、今日はもう帰るね。」

「へ?」

「また、今度は...。」

彼女が俺の襟首を掴む。

「わかってるよね?」

キスされると思ったら。

殴られました。

次回のデートは俺はどうなるのでしょうね....(怖!!)
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