月乃抄
作者: yoi   2008年05月22日(木) 20時27分19秒公開   ID:QGsO1NMPKs.
朝、流来亜に絡まれ学校に行く。
昼、お昼を食べに千秋に絡まれる。
夜、椎名に虐められながら帰る。

「なんだこれ。」

仕事から帰ってきた兄貴が俺の日記帳を見ながら言った。

「お前こういう趣味してたっけ?」

「ちがーう!!まだ、入院してから間も立ってないだろ?!
しかも、一応自殺未遂ってことだし!しゃーねから書かなきゃいけねーの!」

「だぁからって。なんか毎日続いてない?この生活。」
入院してから一週間。変わらない生活を送っていた。
でも、これは記憶の失った「月臣海斗」の生活。
本物はどんなハーレムを送っているのだろうか...。

いつもチャランポランな兄貴は同情しながら真面目に見ていた...(嬉しくねー!!!)

「にしても。」

「んー?」

「今日は入院後初の土日だな!!お兄ちゃんと一緒にでかっけか!!」

ピンポーン

「土曜日は椎名と出かけるから!!」

女の子と男の子が仲良く出かけると言うのはデートとも呼べるだろう。

でも、決して仲良いと言うわけでもなく、持ってるものは地図帳だの筆記用具など持運ばないだろう。

まあ、それは内面だけ、パッと見ればきっと「あ、カップルだ」と思われてしまうだろう
それはまあ、椎名飛鳥は意外と可愛いしそれはそれで男としては喜ばしいこと

「なんでジャージ!!?」
喜ばしいことだろうか...。

「遅い!!しかも、普段着なんて!
校則では「部活はジャージ又は制服で行うこと」ってちゃーんと書いてあるでしょ?!」

「部活だったんだ...。」
彼女の格好は二つ結び、眼鏡、ジャージ...。
4チャンで見たことあるぞ...。こんなの。

「大体なー、私服を着るんだったらもう少しかっこよくできないの?!」

「なんで、格好付けなきゃいけないのさぁ...。」

「顔は月臣君なんだから!!月臣君が汚されたら困るでしょ?」
「イヤ、しらねーし...。俺、月臣君だし...。」
「違う!!全然違う!着替えて来い!!」

すげーはじめて見た委員長キャラ...。

「ジャージはいいのさ...?」
「okよ!許可するわ!」

ガタンゴトンと電車は揺れる。

あぁ、こういうとき、痴漢騒ぎとか起こってそれで俺が助けるなーんて出来事おきねーかな...。
隣に居るのはちょう堅物キャラ。

「あの子、綺麗ね。」
「は?」
女の子が女の子を綺麗って言うか?(言いますよ)

「痴漢してきてよ。」
「はひ!?」
イヤ、駄目でしょ!?校則守ってんなら法律守ってください!
「こういうところで出会いが始まるんでしょ?」

ハイ。どうやら、同じこと考えてました。

「椎名ー。何処行くの?」

「椎名って呼ばないで。」

ハイ。会話成り立ちませんでしたね。残念。

「椎名様はどこのくらすなんでしょうか?」

「様とかキモイ。」

「じゃあ、なんて呼べばいいのさ!?」

「飛鳥。」

超真顔なんですけど...。
「いいの?名前で呼んで?」

多分、これは一大イベントだろう。女の子に「名前で呼んで」って言われるなんて...。

「月臣君の顔や声で呼ばれたから。当たり前でしょ?」

ハイ。女王様参上。

「声はさ...。昔と割と変わんないね。「月臣君」と。なんか、安心する...。」

女の子の顔ってこんな感じだろう。一瞬だけどドキッとして
あぁ、少女漫画とかの相手役はよく理性を失わなかったなと拍手を送りたくなる。

「着いた。」

その顔は一瞬で終わりになってしまいなんともまぁ。残念だ。

「飛鳥。此処何処さ?」

「思い出の場所とかって行けば思い出すかなと。」

「誰との?」

「私の。」

神社だった。鳥居があって、ジャラジャラってする奴もあっておみくじもあって...。

「寂れてるね。」

皆寂れてた。

「そう?結構思い出があるんだけど...。」

「昔の俺はここで何してたわけさ?」

「やることは一つでしょ。部活よ。演劇。」

内心ホッとした。もしかしたら、神様の前であーんなことやこーんなことを...

「はーい。お二人ともー。ハロー。」

神社には似合わない。いや、外と言う外には絶対にNGだろう。

「神宮時先生...。パジャマですか...。」

何を考えてるかわからない、細い目にボサボサの髪の毛。
そして、黄色いパジャマ...。

「早いねー。流石。」

「先生はここの神主さんの息子さんなんだって。」

まった、にあわないことを...。

「似合わないって思った?」

「いえ!!まったく滅相も無い!!」

何やかんやで家に上がらせてもらった。

「一人暮らしの割には広いですねぇ・・・。」

「は?一人暮らしっつたぁーっけ?」

「そう言えば、燈絽ちゃん、出かけてるんですねー。」

「あー。もう燈絽も15だしねー。親父の言うことも聞けないんじゃない?」

燈絽?15歳?親父?

「子供いたんですか!?」

「うん。死んだ嫁さんとの子。もう15歳で写真見る?」

俺はさりげなく遠慮した...。

俺達は広い畳の部屋に案内された。(広すぎだよ。本当に教師か?)

「お前らを呼んだのは他でもない。って一回言ってみたかったんだよね。」

「先生、決まったんでしょ?台本。」

え?台本?

「なんっすか?台本って?」

「シロートは黙ってなさい!」

「ハイ...。」

かかあ天下ってやつ?

「うーん。悩んだんだけどねー。ハイ。これね。」

『リアルラヴ』

「リアルぅらヴ?」

「先生!これもしかして!!」

「4ヶ月後夏コンだ。」



俺の人生はいつから狂わされたんだろう。
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