#学園HERO# 8話 | |
作者: 神田 凪 2010年05月01日(土) 19時20分23秒公開 ID:Fpk3UqE6X6I | |
さぁ、始めよう 幕は既に上がっているぞ その結末が 喜劇 になるのか その終演は 悲劇 になるのか 学園HERO − story 8 − 登場 《 アドレスを検索しましたが、学園に設置されているパソコンではないようです。おそらく個人で使用しているものでしょう 》 先ほどの連絡後30分ほど時間が開いてから副会長帆阪辰巳から電話が来た。 その間、そわそわと宮城真央は落ち着かなく部屋をうろうろしていた。 「どうすればいいんですか、もし、本当にヒーローなら・・・」 《 落ち着いてください。そうですね、とりあえず相手と会話が出来るのか確認しましょう。何でも良いですからメールを送ってください 》 否、はない。 餌になるのだと自分が納得したのだ。言われたとおり、新規メールをつくろうとする、が、 何を書けばいいのか、分からない。 相手は助けて欲しいか、と聞いてきている。ならば返事は下に書いてある通りYESかNOしかないだろう。 だけど、助けを求めてどうなるのだ。自分はもう退学を決めている。 今更、そう今更なのだ。 少し考えた後、カタカタとキーボードを打つ。 頭脳戦には向いていないことは充分分かっているため、直球にすることにした。 ―――― あなたはヒーローなの? ―――― 送信、とボタンを押すとふうっと息を吐き出す。 相手からメールが来たのは30分も前だ。返事がくるのはもう少し後だろう。 だが、 ピコーン 「!?」 受信しました、と画面に表示されている。 早い。まるで、自分からメールが来るのが分かっていたみたいだ。 ゾクッと背筋が震えるのが分かる。 おそるおそる手をマウスに持っていき・・・ 《 宮城さん? 》 「帆阪様。返事が来ました」 《 ・・・そうですか。そこには何と?》 「私、あなたはヒーローなのかと問いました。そして、返事は・・・」 ―――― Yes ―――― ただ簡潔にそう書かれていただけだった。もちろん、何も証拠はない。 だけど、だけど、 《 会えますか? 》 「確認してみます」 震える体はすでに収まっていた。なぜか、手が滑るように動く。 ああ、何だろう。おかしいのかもしれない。何か、わくわくしている自分が分かる。 ―――― あなたに会える? ―――― しばらく返事は来なかった。 嫌に沈黙が続く。切り出したのは、辰巳だった。 《 感づかれましたかね。まぁ、確かにいきなり会いたいは相手も不審がるでしょう 》 「急ぎすぎでした?」 《 いいえ。ヒーローが貴女に目をつけてくれたということだけでも充分です。これからいろいろと対策を・・・ 》 不自然に会話が途切れる。その原因は、目の前のパソコンのせいだった。 「・・・来た」 そこには簡潔に、 ―――― 明日放課後 第4社会教材室 ―――― 「まさか本当に釣り上げるとはな。たいした餌だよ」 ニヤリと生徒会長芹沢帝は笑った。 翌日、真央は生徒会室に来ていた。授業中ということもあり、室内には辰巳と帝しかいない。 二人は授業良いのかと思うが、きっとそんなこと心配するのが無駄だろう。 「まだ本物と決まっていませんが」 「ああ? どっちでも良い。相手がヒーローだと名乗ったんだ。責任を負う覚悟があってのことだろう?」 例えば、誰かが宮城真央を誘き出すためにヒーローを名乗ったということがあるかもしれない。 だが、その場合生徒会は本物として処理するだろう。そうすれば今まで馬鹿にされた“上”が仕返しに乗り出してくるはずだ。 この学園には存在できず、また家の地位も危ない。確かに、普通に考えれば嘘でも名乗ろうとは思わないだろう。 「さて、第4社会教材室か。あそこは確か特別棟にあったな」 「はい。自習室の隣にあります。地図、ならびに資料の置き場となっているので広さは結構あります」 「とりあえず、自習室は放課後入室禁止だ・・・と言いたいが怪しまれるな。どうする?」 「もともと特別棟は人の出入りが少ないです。自習室を使うのはごく少数でしょう」 「だが、もしも、ということがある」 「自習室だけではなく全体的に禁止にしましょう。業者に連絡をして、清掃を行うため特別棟出入り禁止ではどうでしょう」 「まぁ、少しきついが・・・それでいこう。あまり凝りすぎても不自然だ」 真央の目の前で辰巳と帝が次々と話し合いをしていく。 その会話の内容に舌を巻く。ああ、これが人の“上”に立つ人なのか。 「宮城」 「は、はい」 「お前は時間までここにいろ。今日は誰も来るなと言ってある、俺達は仕事で出ることもあるが安心しろ」 「はい」 「そして、」 続く言葉に緊張しながらも頷く。 この行動がどんな結果を生むのか、分からない。 もしかしたら後悔するのかもしれない。スッパリと割り切れることは出来ない。 それでも、でも、会いたい。会ってどうするとか何も考えていない。 文句を言いたいこともある。疑問をぶつけたいとも思う。 でも、それ以上に、ただ、ただ、会いたい。 ⇒To Be Continued... |
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