心から欲しいモノ 第1話 | |
作者: 想 2010年04月09日(金) 14時14分52秒公開 ID:te6yfYFg2XA | |
※腐向け! ※手の甲にキス表現あり! ※苦手な方はバックホーム! 第1話 転入初日 実の親に軽く育児放棄されたオレを母方の伯父が引き取って貰ったあの日から9年。 オレ―― そして今の状況に驚きを少々焦っている。 それは朝からずっと同じクラスにいたし、始業式中も列に並んでいたのにも関わらず誰もオレが転入生(新顔)だと気付いていたかったこと。 確かに男しかいないし小さいことは気にしないのだろうけど少し切ないと言うか哀しいと言うか…。 それに担任の…斉藤? 先生はいつになったらオレの名前呼ぶのかなぁ…。 まさか、先生まで忘れたとか? いやいやそれは無いでしょ、常識的に忘れちゃ駄目でしょ。 (それに先生の話はっきり言って……) 「「ツマラナイ」」 小声で呟くと誰かと声も言葉も被った。 誰と被ったのか気になったのだか、 「――あ、…このクラスに転入生が来ているんだった。え〜っと、河合!」 タイミング悪く斉藤先生がオレの名前を呼んだ。 仕方なくオレは被った人を探すのを止め、席を立ち黒板の方へ歩いて行き名前を書いた。 「えっと。河合 理雄といいます。分からないことだらけですが、よろしくお願いします。」 クラスを見渡しながら軽く頭を下げる。 クラスの奴等はこそこそと何かを言っているみたいだが頭を上げ笑顔を見せると何故か静かになった。 「はいはい。じゃあ、河合もとの席に戻って質問とかは休み時間とか利用してくれよ。そう言うことでホームルームは終わり解〜散!」 斉藤先生はそう言い残し教室から出て行った。 質問とかって無いと思うけど今まで気付かなみたいだしと一時間目の授業の準備をしようと思ったら…。 「河合くん!? 今までどこに住んでたの? 今度はどこ住んでんの? 好きな食べ物は? 血液型、身長、体重、座高の高さ…他には…なんで伯父さん達と住んでたの?」 大きな目をキラキラさせながら一人のクラスメートが寄ってきた。 質問する前に君の名前も言って欲しのだけど…。 「今まではここから結構遠い所で、今は学園の寮に住んでる。好き嫌いはあまり無いけど甘いものが少し苦手で…。血液型は……」 オレは1つ1つ律儀に答えていったが最後の質問には答えなかった…ってあれ? なんでオレが伯父夫婦と住んでいたこと知ってんの?! 「あれぇ? 伯父さん達と住んでなかったの? 確か家族構成は河合君の伯父さんの ズバッと伯父夫婦の家族構成まで当てられてオレは少し危機感を感じたし、これだけ知られていたら別に話しかけなくてもいいよなと納得した。 しかもその“リュウセイ”ってそもそも誰? 何者? 「合ってるよ。それか和音が長男と次男の名前反対に言ってるからじゃないのか。」 オレの隣の(窓側の)席から声が聞こえた。 しかも『『ツマラナイ』』ってハモったときのあの声。 「はじめまして。俺は ハモった奴…――田口は笑みを浮かべながら手を差し伸べてきた。 「オレは河合 理雄。こっちこそよろしくな!」 オレはただの握手だと思って手を出すとその手の甲に唇を当てて来た。 「なっ…!」 「いろいろと…よろしくな。 熱くて、赤くなった(はずの)顔に艶かしい声で田口は止めを刺すような一言。 もしかしてオレはとんでもないところに来てしまったのではないかと後悔とこれからの学園生活への不安が胸よぎる転入初日だった。 ⇒To Be Continued... |
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