ジュエルプリンセスMiracle 第12話 三角
作者: 夏姫 みの  [Home]   2010年03月24日(水) 15時35分36秒公開   ID:bkWoewa3Plc
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 あれから一日がたった日のことだ。
 ようは今日、学校に来なかった。そして次の日、また次の日も学校に来なかった。


「はぁ……」


 叶氣かなきは、ため息をついていた。叶氣の居るところは屋上。今日は、いい天気で雲一つ無い。快晴の空だ。そして暖かい。そろそろ本格的に気温も暖かくなるんだな……と叶氣は空を見上げながら思った。
 その時、ガチャッとドアの音がした。


「あ、しゅうくん」
姫様プリンセス、屋上に……」


秀が屋上に入ってきた。

「うん。なんか急に屋上に行ってみたくなって。そして暖かいからね」
「……そう」

 秀は無表情で人前では、あまり喋らない。口数が少ない大人しい男の子だ。

「秀くんは?」
「読書。晴れてるし、過ごしやすい陽気だから」
「そっか」

 しばらく沈黙が続く。秀は読書している。ちなみに英語で書かれている本だ。

「え、英語の本読んでるんだ〜。おもしろい?」

秀はうなずく。

「へぇーっ。秀くんは、ミステリーとかホラーみたいな謎めいた物語を読みそう」

叶氣は言う。内心では少し緊張している。

「でも、ギャグとか恋愛とかも読むけど」
「えっ?! そうなの? 意外ー」

叶氣は驚く。意外な一面を知ってビックリだ。

「そう?」
「うん。だって秀くんがラブとかって……。そこは詩羽しうちゃんから影響されて?」
「自分で、おもしろそうって思った本が恋愛とかギャグだったりするコトが、たまにあって読む」
「へぇ……」

秀は読書しながら言う。

「……姫様」
「何?」


















「……やっぱり、なんでもない」

秀の綺麗な水色の瞳が、叶氣の青い瞳に向けられる。

「え? 何か私にあったの?」
「別に無い」

秀は本を閉じる。

「もう休み時間終わる。そろそろ教室に行ったほうがいい」
「あ。もうこんな時間!! 秀くん、一緒に行こう?」

叶氣は笑顔で誘う。秀は、しばらくして

「……僕は後から行く。もう少しココにいたい」

と言った。こんなに綺麗な空で過ごしやすい気温だからだろうか? と叶氣は思う。そうだったら、素直に秀の言うことを聞いたほうがいい。

「わかった。じゃあ私は先に行ってるね」

そう言い残して、叶氣はドアを静かに閉めた。


「……今は僕が代わりでも問題ない。それに今の君は…」









(過去の日向ひなた 陽だから)









そう空に呟き、秀も教室に戻って行った。





⇒To Be Continued...

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