私的武勇伝説02 |
作者: 零 2008年12月26日(金) 12時58分59秒公開 ID:NqbpUpPD62U |
並盛中――― 伝統ある中学校である 主に風紀委員は並盛中の全ての権力をもつ 日当たりの良い応接室に風紀委員は場所を構えている 本来ならば委員が応接室を使用するなど有り得ないのだが 風紀委員は並盛中の全ての権力を支配する 不良最強と呼ばれる風紀委員,雲雀恭弥 風紀委員長あっての風紀委員なのだ その応接室には作業用の机があった 傍には肌触りの良いソファー等 いつもと変わらない応接室 ・・・だが,異様な物が一つあった 作業用の机の上に一人の女が立っていた 仁王立ちに腕組みをして 問答無用に立っていた 容赦なく,完全無比に,他にどう形容しようもなく立っていた 窓から夏特有の暑い風が女の淡く儚い色をした髪を舞い上げた 一本一本が絹糸の様に美しい 女と呼ぶにはまだ幼かったが 女を取り巻く雰囲気にはどこか大人びた感じが見受けられる ドアの横には一人の少年 学生服の袖には風紀の文字が入った腕章 少年はどこからともなくトンファーを手にとった 「きみ誰?」 「それを私に問いかけるあんたは誰?」 「風紀委員だけど」 「明確な答えね。好感がもてるわ」 「ふーん」 「だけど残念な事に不正解よ」 「不正解?」 「ブー」 女はキリッと表情を引き締め,机から降りた 「風紀委員に必要とされる資質はただ一つよ」 「ふぅん」 「優秀である事。これに尽きるわ」 「当たり前だよ」 「だけど風紀委員は優秀であってはいけないの」 「意味が分からないよ」 「優秀な風紀委員は,取り締まってはいけない規律を乱す者まで取り締まるからよ」 「取り締まってはいけない規律を乱す者なんていないよ」 「その通りよ。問題なのはそこ!!」 女はビシッと少年に向かって指を突きつけた その無表情な顔に少年の持ったトンファーがめり込むまで,後数秒 その日も並盛は晴天だった いつもと変わらない空 一つ変わった事は転入生がクラスに来ない事 職員室には行ったそうなのだが,何処かでサボっているらしい もうすぐ苦手な数学の時間が終る あと5分で4時間目が終るというところで騒がしい足音が聞こえてきた 「きゃっほーい!!」 「は?」 聞こえてきた声に思わず首をかしげる 獄寺くんや山本を見たらポカンという言葉が似合う顔になっていた 足音はどんどん近づいてきて ガラッとドアが開いた ドアの向こうにはこれまで見た事の無い美少女が立っていた その女の子はずかずかと教卓の前まで来ると教師を押しのけ 黒板に字を書き始める 綺麗な文字で 桐生 零 と・・・ そして桐生さんは息をスッと吸うとニコッと笑った 「初めまして,転校生の 桐生 零 です 遅れた理由は,ちょっとアヒルだか鶏だか分かんない奴と遊んでたからです 特技は萌える事と盗撮で趣味は妄想!」 「(萌えって何―――!!ていうか盗撮って!?)」 桐生さんは言い終ると教室から出て行った 「嵐が通って行った感じッスね」 獄寺くんの言葉に静かに頷いたところで授業終了のチャイムが空しく響いた |
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