月乃抄
作者: yoi   2008年05月11日(日) 19時20分47秒公開   ID:QGsO1NMPKs.
病院のベッドは疲れる。

慣れてない。いや、慣れる慣れてないなんて知らないからだ。

コイツがどうなったかなんて興味ない。いや、むしろこいつは誰なんだろう。


・・・鏡を見るとこんな自分が映し出される。
「月臣海斗。」

イケてる?と言えば、「上の中」と言われそうな男。
だが、今の自分は寝癖だらけの髪。
ヨレヨレのパジャマ。
コンタクトが怖いので黒ブチ眼鏡。

「中の中」
俺は眼鏡を外し寝癖をとかす。パジャマはなんとかならないが。

そして、鏡を見ると。

「ぼやけてるし...。」
と当たり前のことにツッコミを入れる。

病院生活、10日が過ぎた。
友達はたくさん来た、そのお陰ですぐにクラスに戻れば馴染めるだろう。
流来亜にもいろいろと話を聞いた(あ、ちなみに
彼女は俺の本当の妹と言うわけじゃない。
と言っても複雑な家庭じゃない、
流来亜は最近流行りの妹キャラと言うわけだ。

「そっちのほうが複雑だって...。」

俺の担当の医師や看護婦さんが部屋に良く訪れた。

「もう、自殺なんか考えるんじゃない」とか「大丈夫よ。皆あなたの味方なのよ。」

と、可哀想な「月臣海斗」が完成した。


実際、この月臣海斗は明るい生活を送っている
モテモテでクラスの人気者。

しかも、周りには超可愛い女の子(妹キャラ)

家では・・・。
「家では・・・。」

そう言えば、親がまったく見舞いにこない。
実を言うとあと、2日後に俺は退院することになっている。

なのに、一回も顔を見せない。何故だろう。

だが、わりと簡単に正体はわかった。

ガラッ

「海斗ー。」

一人の青年が入ってきた。
金髪の髪にピアスそして派手なギター。

「海斗!!」

青年は俺に咄嗟に抱きつく。

「会いたかったー。イヤー、もうお前ヘマしたんだって?
女に子供産ませてさー。それで殴られてビルから落とされたとか!!」

「っておい!!俺は自殺したらしいけど女とか子供とか違うって!!」

「自殺??今流行のプチ自殺ってかー?流行ってねーぞ〜!」

「煩いんだよ!!プチって!使い方は間違ってねーけどシャレになんねーから!!
くそ兄貴!!」

その時、フッと思った。ひっそりと口に出している「クソ兄貴」

「嘘だろぉぉぉぉぉ!!」

似てない。
いや、似てないと言う問題じゃない。
この格好はライブに出かけてたって感じだ。

と言うことは大事な弟捨ててライブだのコンサートに言ってたのか!?

「てめぇぇぇ!!」

俺は兄貴に殴りかかった。

シュドーン

「いってえぇぇ...。大事な家族を!!2人っきりの兄弟だろぉ!?」

そう、説明しよう。
昔、昔、 「海斗」と「勇人」(←兄貴の名前)
と言う仲良しな兄弟が居ました。あ、北海道ね。出身。
父と母は今も健在しております。
ですが、勇人が大学を卒業した後、
海斗が東京の高校に行きたいということで
勇人はついていきましたとさ。

「というわけなんだよぉ。汗と涙の物語ってか?クゥー...。」

「2人っきりじゃないじゃん!!」

少し感動しかけた俺。

「記憶抜けたんだってな...。」

「知ってたんだ...。」

少しホッとする。説明するの面倒だから。

「しょうがないなぁ。」

と言って、鞄から何か分厚い本を出す。

「これ...。。これ。すっごい大事にしてたんだかぁら...。」

泣きながらそう、アルバムを出す。

「なんで、持ってんのさ...。」

「もう!!そうやって困らせないの!」

ツンと俺のデコを突付く。

「あ!!もう、時間だね♪」

「俺、全然記憶戻らないんだけど...。」

アルバムを見ても何にも思い出せない。(気色悪いのばっかりだな...)

「今度、海斗の部屋に連れて行くから!」



俺は俺を取り戻せるんだろうか。
心配だった。
■作者からのメッセージ
2作目見てくれてありがとうございます!!
気づいてる方も居ると思いますが、白夜は私の姉です。
なので、勘違いしないでくださいね!
私は明るい話を書くので!!

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